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やがて大きな実をつけるために

 2日前、園庭のりんごの木にたくさんの実がついていました。今までで一番たくさんの実がついているのに気づいて、とってもホッとしました。6年前は小さな苗で、買った当時についていた小さな姫りんごの実を、子ども達と分け合って食べたことを思い出します。


 最初の卒園児は1人だけでした。今年はもう6年生で、遠くに引っ越してしまいましたが、元気に大きくなっていると思います。一緒に西鉄バスと地下鉄に乗ってアジア美術館に行ったことを覚えていてくれるでしょうか?


 今年はたくさんのりんごの花が咲いたので、たくさんの実がなっているのは当たり前なのでしょうが、がんばっている子ども達と私たちへのギフトのように思えます。子ども達は毎日泥だらけで、園庭に咲いているたくさんのお花を取って、力いっぱい遊んでいます。でも、りんごの花は取らずに大事にしてくれます。


 先生たちは、たくさん水遊びをしたい子ども達に、どこまで「いいよ」と言ってあげたらいいのか葛藤しながら向き合っています。先日の職員勉強会で、ライン(ルール)を決めたのですが、なかなかルール通りに実行するのは難しいようです。子ども達の遊びの様子を見ていたら、止めるのは難しいですね。


 新しく入って来た先生たちは、どこまで「いいよ」と言っていいのか、どこで注意をしたらいいのか、とても迷うようです。子ども主体の保育は、その場にいる先生の判断に委ねられることが多いからでしょう。「ここまでが〇で、ここからは×」とマニュアルで決められたら、こんなに悩まずに済むと思うのですが、相手は発達真っ最中の子ども達なので、マニュアルで決められることはほんの少しです。


 全ての先生が子ども達の成長・発達を願いながら関わっています。その中で迷ったり、他の先生のかかわりを見て「困る」「そうじゃない」と思うこともたくさんあるでしょう。でも、理念に沿って考え、行動していればだんだん同じ方向を向けるようになります。


 毎月の園だよりの1ページに、いろいろ書かせてもらっているのですが、そのタイトルは「やがて大きな実をつけるために」です。今、私たちが子ども達のためにしていることはすぐに結果が出ることではありません。乳幼児期は大きな実をつけるための土台作りの時です。慌てず、焦らず、でも一生懸命に子ども達に関わっていれば、心と体が育ち、やがて自信を持って自分の人生の主人公になってくれます。それは自然な流れです。毎年少しずつりんごの花が増え、りんごの実がなります。今年も子ども達と一緒に食べる日が楽しみです。

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