インクルーシブ教育
昨日、福岡市主催の特別支援保育(さぽ~と保育)のオリエンテーションに出席し、就学相談会について説明を受けました。相談会という名称ですが、相談をするのではなく、就学先を決定するために行われているので、これに申し込むと、通常の小学校ではないところを選択したいという意思を示したことになるそうです。
相談するつもりで申し込まれる保護者の方がいらっしゃいますが、相談ではないと言われました。でも誤解しますよね。ネーミングを変えてほしいと思いました。就学相談に申し込むと、特別支援教育を受けることができます。特別支援教育とは、『障がいのある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うもの』と定義されています。
福岡市には特別支援学校が9校あり、送迎バスで1時間以内で通えるそうです(長いですね)。知的障がいの特別支援学級がある小学校は145校中142校、中学校は69校中67校に設置されているそうです。自閉症・情緒障がいの特別支援学級がある小学校は31校、中学校14校、肢体不自由は小学校4校、中学校3校、弱視は小学校2校、病弱は小学校5校、中学校5校、難聴は小学校3校、中学校1校だそうです。
通常の学級であれば、35人までの生徒を1人の先生が指導しますが、特別支援学級では8人の児童を一人の先生が指導します。特別支援学校は、4~5人の児童を2人の先生で指導するようなイメージだそうです。
令和5年度現在、情緒等通級指導教室は小学校22校、中学校7校にしか設置されていないので、1週間に1回2時間程度の特別な指導(自立活動)と保護者面談を受けるために、近くの情緒等通級指導教室がある小学校に保護者の方が送迎をしなくてはいけないそうですが、令和6年度から全校に設置されるそうです。それだけ特別な支援を必要とするお子さんが増えているのでしょう。でも、体制やそこに関わる専門性がある人材はまだまだ不足しているように感じます。
4月に小学校に入学した特別な支援が必要なAくんのお母さんが、先日保育園に来られて「入学して2週間経つけど、まだ教室まで送って行っているんです。保護者で送って行っているのは私一人なんですけど、先生は忙しくて、Aが話しかけてもなかなか通じないんです。だから教室まで行っているんです。Aを守れるのは私しかいないと思って・・・」と話されていました。
ずっとAくんの支援をしていたりんごの花保育園のB先生は、Aくんの卒園式の時も、最後の登園日もずっと泣いていて、Aくんへの思いの深さを感じました。「ここの先生たちがどんなにAのことをわかってくれていたか(小学校に行って)よくわかりました」とAくんのお母さんが話されていました。
特別支援教育は、障がいの有無だけでなく、一人一人の違いを認め、それぞれの良さを生かしながら活躍できる共生社会の実現を目指すという考え方の基礎になるものです。一人一人の人権を尊重し、その人らしく生き生きと活躍できる社会の実現は、誰にとっても好ましいはずです。インクルーシブ教育が、未来の社会を温かい社会に変えてくれるよう、本気で取り組んでほしいと思います。
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