仕事と子育ての両立
思いがけず、以前勤めていた保育園の保護者のNさんからお電話をいただきました。相変わらず、子育てと仕事に真摯に取り組んである姿が手に取るように伝わってきて、心が痛くなりました。女性はいつまで、子育てと仕事の両立で悩まなくてはいけないのでしょうか?
以前も、お子さんとの時間を大事にしたいという思いと、忙しい仕事の間でずいぶん悩んでいらっしゃいました。お仕事の話はあまり聞いたことがないのですが、責任感が強い方なので、お仕事への思いも強いのだと思います。あれから何年経ったのでしょう。お子さんは大きくなったものの、責任のある立場になられて、子育てと仕事の板挟みで悩んでいらっしゃるようでした。
両立とは言うものの、どちらも納得して生活するのは難しいですね。私も二人の子どもを母に任せて(任せてというのがピッタリです)仕事を続けてきました。子どもはもちろんかわいかったですが、経済的なことだけでなく、仕事が好きで働き続けたのだと思います。
主任になった時は、下の子はまだ小学1年生。勉強も見てほしかったでしょうし、ゆっくりおしゃべりしながら食事も一緒にしたかったでしょう。でも、主任になったことで、毎日最後の子が降園する20時まで保育園にいて、家に帰りつくのは8時半を過ぎ、子どもたちは私の母と食事を済ませて、テレビやゲームをしながら帰宅する私を待っていました。
その時は必死で、子どもたちの寂しさを思う余裕もなかったような気がします。そんな余裕がない私を支えてくれたのは母でした。母は私の一番の応援団であり、理解者であり、一度も責めることなく、子どもたちの世話をしてくれました。
今思えば、母親としてもっとできること、やらなくてはいけないことがあったのにと思います。現在、二人の子どもの子育てをしている娘は、「小学校1年生の時、友達を迎えに行くと、友達がお母さんから髪の毛を結んでもらっていたのが羨ましかった」「朝ごはんに、果物とかいっぱい並んでいるのをいいな~と思って見ていた」など、その当時は何にも言わなかったのに、今になって時々ちょっとチクチクと話す言葉を聞いて、落ち込みます。いろいろ思っていても、余裕のない母親には何も言えなかったのでしょうね。
子育てと仕事の両立は難しいです。どちらもバランスよくするなんて無理です。仕事に注力すると、子どもに寂しい思いをさせてしまうこともあるのが現実です。それでも、寂しい思いをさせていることを胸に仕事を頑張っている母親の姿は、きっと子どもに何かを伝えているのだと思います。あの時、子どもたちに寂しい思いをさせながらがんばってきたから今の私があり、二人の子どもが保育士資格を取ったと思うと、がんばったことに意味を見出すことができます。
がんばっているNさんに、「がんばって」ではなく、「だいじょうぶ」という言葉を伝えたいと思います。
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