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園バスは必要か

 園バスで取り残され、熱中症で子どもの命が失われるという悲惨な事件が起きてから、園バスの取り残し防止のために、AI技術の活用が導入されたり、園児にクラクションを鳴らさせる訓練をするなどの報道が後を絶ちません。失われた命の重さを胸に刻み、今度こそ二度と同じような悲惨な事件を起こさないという思いは子どもに関わる誰もが共有しています。


 人間はミスを犯してしまう存在なので、AI技術を導入することも、子ども自身に周りの人に気づいてもらうように行動を起こしてもらうことも、リスクを減らすためには大事です。でも、全国私立保育園連盟発行の『保育通信10月号』で、保育・子育て総合研究機構代表の室田一樹氏が、『通園バスの自明性を問う』と書かれているように、乳幼児施設で通園バスを利用するのは自明のことなのでしょうか?


 園バスがなければ、園バスで子どもを取り残し、かけがえのない命が亡くなるということは起こりません。そんなことを言えば、園バスを利用した人の心を傷つけたり、園の責任転嫁になってしまうかもしれないので、なかなか口にすることはできないのですが・・・。


 室田一樹氏が40年間園長を務められた保育園は、山裾にあって利便性が悪いので、1960年から園バスをずっと運航していたそうですが、2000年から5年間かけて廃止したそうです。廃止したのは、自家用車で送迎をする保護者の方が増えたという経営的側面があったものの、一番は『子どもがやりたいことを自分で見つけて自分で打ち込み、自分でおしまいにできる時間』を大切にしたいという保育への思いからだったそうです。


 園バスがなくなったことで、バスの乗降に合わせて子どもを急かすことがなくなり、保育者もバスに同乗しなくてよくなったので、保育全体に与えた影響は大きかったでしょう。


 幼稚園や保育園、認定こども園に通園バスがあるのは特別なことではなく、あって当たり前の時代です。私も、保護者の方の利便性を考えると、園バスは必須のように思っていました。でも、子どもにとってはどうでしょうか?園バスは、園の広告塔の役割も担っています。子どもがキャラクターなどに惹かれて「あのバスに乗りたい」と言ったとしても、乗って嬉しいのは何日かだけでしょう。


 室田氏も書かれていますが、園バスを利用することで、園の様子を見たり、担任の先生と話したり、保護者同士で会話をする機会もなくなってしまいます。りんごの花保育園は園バスがないので、毎日送り迎えの時に、顔を見ながら、子どもたちのことを伝え合うことができ、それが安心感や信頼感につながっていると感じます。


 二度とこんな悲惨な事件を起こしてはいけないという強い思いはみんな同じです。そのためにできることは何か、それぞれの立場で考えなくてはと思います。




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