子育て支援
先日から児童精神科医・臨床心理学者である滝川一廣氏の『子どものための精神医学』を読んでいるのですが、佳境になって、現代の子育てが陥っている罠みたいなものについて書かれていて納得しました。
『現代では、病死(自然死)はもちろんのこと、犯罪の犠牲となる子どもたちも、生活難や育児困難からの嬰児殺しも総体として激減している。現代ほど子どもの命が護られている時代と社会はない。子どもが加害に走る少年殺人も激減して、現在は戦前、戦後を通じて最低の基準にある。その他の凶悪少年犯罪も足並みをそろえて激減していて、現代ほど子ども達が激しい暴力性や攻撃性を示さず、穏やかに育っている時代と社会はない。子ども達の非行は著しく軽減しており、高度成長を経て社会が安定し、豊かになったこともあずかっているが、何よりも子育てが手厚くなったことがあずかっている。
これらのデータ(データあり)は広く全体を見る限り、現代日本の子育ては大多数の子ども達を安全に健やかに穏やかに育て上げているという事実を示している。これに目を向けずに、実際には激減している子どもの「犯罪被害」「犯罪加害」「虐待死」等を材料に子育ての危機をあおるのは誤っている。過激で過剰な危機意識が社会に広がるところに現代の子育てが強いられる困難のありようがみてとれる。』
これを読んで、報道や論調に惑わされていたことに気づかされました。確かに子育ては、私が子育てしていた時よりも、ずっとずっと丁寧で子どもの気持ちに寄り添うものになっています。健やかに穏やかに育っている子ども達が大半です。厳しい躾けや手を挙げるなどの行為を目にする機会もずっと減りました。
ただ、全体の子育て力の平均点が上がった分、子育てをされている方は苦しくなる時があるかもしれませんね。私の子育ては大丈夫?子どもは順調に育っているの?初めての子育てで悩んでいる方もたくさんいらっしゃるでしょう。
少子化対策のために来年度から実施される予定の『こども誰でも通園制度(仮称)』は、そんな方たちの強い味方になってくれるかもしれません。お母さん(お父さん)が、心にゆとりをもつことが、子育てで一番大切なこととやっと国も気づいてくれたのですから。
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