忖度しない生き方
昨日、成人した自閉症の方達が世界をどう見ているかについて書かれた著書
『ハイパーワールド〜共感しあう自閉症アバターたち』を読んで感じたことを書きました。私の生半端な知識ではとても理解することができないのですが、でも、新しい世界が開かれた気がしました。
昨年、知的障害者施設の施設長さんから紹介していただいたAさんとの出会いを思い出しました。興味深い職員がいる、その人の経験を聞いたら参考になることがあるかもしれないと施設長さんに言われて、りんごの花保育園の職員勉強会でお話して頂きたいと思いました。
事前にAさんのお話を聞いてみたいと思って、福岡市内にあるAさんの職場である知的障害者入所施設を訪ねました。Aさんは、30代半ばで、しっかりした印象のきれいな女性でした。
Aさんは、知的障害者入所施設の職員のリーダーとしてキャリアを積んで来られたようですが、人の気持ちがわからない、空気を読むことができないそうです。だから自分は小さいころから友達がいないんです・・・。
前もって施設長さんにその情報を聞いていたので、お会いする前は、人とのコミュニケーションに支障がある方がどんなに大変か、そして仕事をする上でどんなご苦労があるかを聞きたいと思っていました。
予想に反して、「友達はいないけど、全然平気です。」「人の気持ちを考えたり、空気を読んだりしないので、全く生き辛くないです。」とサバサバとした答えが返ってきて驚きました。
人の気持ちに興味がないから、人の評価を気にすることもない。人のうわさ話をすることもないから特に親しい人もいないけど、別に何も困らない・・・確かにそうかもしれませんね。人の気持ちや空気を読んだりするので、小さなことでくよくよしたり、勝手に想像して悪い方に考えたりすることもありますね。
そんなAさんが人を支援する仕事に就いていらっしゃるのは意外な気がしますが、利用者の方からはとても信頼されていて人気があるそうです(施設長の方のお話です)。
知覚過敏があり、雨が当たると痛いと感じるそうです。でも、自分で様々な工夫や調整をしながら、自分なりの生活スタイルをつくり、社会の中で人に頼られる生き方ができるようになられたのだと思います。
人と違う感覚を持っている人の悩みや大変さを話してもらいたいと思った私の思惑は見事に覆されました。それでもお話してほしいとお願いすると、「その日(職員勉強会)は、宿泊担当だから無理です。」と断られました。施設長さんも同席していらっしゃったので、別の人と交代すれば?といろいろ提案してくださったのですが、「宿泊担当だから難しいです。」と断られました。上司の気持ちを忖度しないのもAさんらしくてかっこいいです。
みんなが同じように感じて行動しているわけではなく、少数派ではあってもAさんのような人がいることでこの世界は豊かに成り立っているのでしょうね。
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