時代の変化に合わせて
76年ぶりに、5歳児の保育士の配置基準が現行の30人に1人から25人に1人に改善されることになったそうです。1歳児6人に1人を5人に1人への改善は2025年度以降になるそうですが、一緒に改善してほしかったです。なぜ一緒に改善してくれなかったのでしょう?
他園の園長先生と話していると、「保育士がなかなかいなくて、人材派遣会社に支払う仲介料が高額で大変・・・」と口を揃えて言われます。一人を雇用するのに、雇用する人の年収25%~30%の超高額な仲介料が請求されます。
保育士がうつになって休んでいるとか、急に辞めてしまって他の人がオーバーワークになっているという話も頻繁に聞きます。配置基準が上がって、保育士にゆとりが生まれればいいのですが、保育士のなり手がなければ、いつまでたってもこの悪循環は続いていくでしょう。
先日見学に来られた方は、お子さんが大規模の保育園に通っていて、5歳児は、30人に1人の保育士の配置をしているクラスが2クラスあり、配慮が必要なお子さんに加配される保育士は1人しかいないので、2クラスを行ったり来たりしているという話をされていました。一生懸命頑張っている先生ほど疲弊してやめてしまうそうです。保育士の配置基準を改善しても、保育士がいなければ現場を変えることはできません。
こんな状況の中で来年度4月から「こども誰でも通園制度(仮称)」が始まります。本日「こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた試行的事業に関するオンライン説明会」がありました。在宅の子育て世帯が対象で、生後6か月から3歳誕生日前日まで、「月10時間」の利用が可能となるようです。システムを導入して26年度から予約・管理・請求までできるそうですが、相当なビッグデータになり、個人情報の管理も心配になります。
一時保育との違いについても説明がありました。一時保育の利用理由は保護者のためですが、「こども誰でも通園制度(仮称)」は、子どもの健やかな心身の成長を促すなど子どものための制度であることが大きな違いだと話されていました。
同じ年齢の子ども達と過ごす経験や保育に関する専門性を持った大人と関わることが子どもにとって大きなメリットであったり、保護者の方が自分の子育てに自信を持てるよう伴走型で保育士が支えていくことも求められているそうです。
制度の中身がだんだん見えてきて、本当に始まるんだなと実感しました。保育所だけでなく、幼稚園、認定こども園、小規模保育施設、地域子育て支援拠点事業など幅広い事業所で受け入れができるそうです。この検討会は18人の有識者の方が検討委員なのですが、福岡市こども未来局子育て支援部運営支援課長さんも検討委員だったので驚きました。福岡市はこの事業に力を入れていくつもりなのでしょう。
受け入れる方も、これまでの子育てや保育のノウハウを生かしつつ、家庭で過ごしている親子の支援ができるよう新しい知識も技術も必要になって来ます。7年位前、フィンランドの『ネウボラ』という妊娠から就学までを一貫して支える施設があることを知り、こんなシステムがあればもっと子育てが楽しいものになるのに・・・。でも日本では無理だろうなと思ったのですが、突然新しい扉が開いたような気がしています。説明会を聞いても、疑問ばかりですが、「子ども誰でも通園制度(仮称)」はきっと走りながら考える制度なのでしょう。新しい役割を果たすことができるよう準備をしたいと思います。
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