社会の成熟
昨日の保護者支援・子育て支援のキャリアアップ研修の講師は、中村学園大学の笠原先生でした。専門は心理学だそうです。笠原先生は、対人関係の専門家として、相手が誰でも、レスペクト(尊敬・敬意)する気持ちを持って接するようにしていると話されていました。
相手が誰でも・・・もちろん子どもに対してもです。人の名前を呼ぶときは、必ず〇〇さん、〇〇先生と呼び、敬語で話されているそうです。そんな人柄が表れているお話を聞いて、とても感心するとともに、安心もしました。
私も、子ども達の名前は省略せずに呼ぶことにしています。保護者の方とお話しする時も、敬語で話すことを心掛けています。それは相手に対する敬意であり、保育士という専門職として関わっているからです。時には、もっと親しさを感じられるように話した方がいいのかなと思うこともあるのですが、〇〇さんには敬語、〇〇さんには平易な言葉で話すことは、公平ではないような気がします。
笠原先生は、子どもをあだ名で呼んでいる人はいませんか?と尋ねられましたが、もうそんな人はいないと思います。でも、少し前は、お家での呼び名を聞いて、同じように呼ぶこともありました。呼び捨ても普通にしていたように思います。
以前勤めていた園の役場は、職員の方を〇〇ちゃんと呼んでいたのが、とても気になりました。地元の人を雇用することが多かったので、小さい頃から知っているからでしょう。でも、職場で〇〇ちゃんと呼ぶ上司にはとても違和感を感じました。
個人情報保護法が施行される前は、子ども達の名前や顔写真を出すことに全く抵抗感がなかったのですが、現在意識は大きく変わりました。知らない人に名前や顔を知られたくないのは当然です。この意識の違いは私が保育士になった頃と全く違います。昔は、保育室の壁に保護者の方の職場と電話番号などを模造紙に書いて貼っていました。今考えると怖いです。
一人一人の人権を尊重する気持ちは、社会の成熟とともに高まっています。誰も他人に侵されたくない自分の領域があります。それを守られるからこそ、他人の人権も尊重しようとし、社会の中で安心して生活できるのだと思います。
自然、地域社会、人との繋がり、様々な地域の行事など失われたものはたくさんありますが、一人一人の人間を尊重しようとする機運は確実に高まっていて、それが未来社会への希望でもあります。
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