自閉症スペクトラム
先日、福岡市医師会主催の研修会に参加しました。テーマは、「発達障害に対する理解と支援~療育現場からの報告~」でした。社会の変化から、もともと持っていた特性が引き出され、大人になっても生き辛さを抱えている人が増えているそうです。
『リエゾン~こどものこころ診療所~』というテレビドラマが放映されるほど、世の中の人が『発達障害』に関心を持っていることで、自分の子どもの発達に不安を抱え、福岡市の療育支援センターを受診する人が、平成10年は426人だったのが、令和3年1,931人と4,5倍になったそうです。
令和3年福岡市の年間出生数は13,000人なので、7人に1人以上(約14,9%)が受診していることになり、最近の傾向として、発達に偏りがあり、知的に遅れのない子の相談が増えているそうです。
これまで自閉症の中でも、知的な遅れがないものは、アスペルガー、高機能自閉症など障害の特性で分けられていましたが、最近は自閉症スペクトラム症と呼ばれるようになりました。スペクトラム(=連続体)とは、黒か白ではなく、正常から連続して濃淡を持ちつつ、変化しうるという考え方で、障害と捉えるのではなく、多様性と考えられるようになっています。
多様性といっても、本人にとっては、こだわり、感覚過敏や人とのコミュニケーションの取りづらさなど、理解してもらえず多くの負の経験をすることで、自己肯定感が低くなり、二次障害を引き起こすリスクがあります。できるだけ早く適正な診断を受け、支援をしてもらうことでその後の人生が大きく変わるようです。
福岡市のさぽ~と保育は、診断名がつかなくても、保護者の方の申請があれば、加配保育士を配置することができます。りんごの花保育園でもさぽ~と保育を利用されているお子さんが何人かいますが、他の園でもかなりの数のお子さんがいることを園長会などで聞いています。
さぽ~と保育を受けていると、その子に合った対応ができます。りんごの花保育園でさぽ~と保育を受けているAくんは、「一人になりたい」と言って、時々先生と一緒に部屋を出ていくことがあります。しばらく時間をおいて戻ってくると、また気持ちを切り替えて遊び始めます。こんな対応ができるのもさぽ~と保育を利用しているからです。さぽ~と保育を利用するからと言ってリスクはなく、子どもにとっては安心して自分らしく過ごすことができるので、とてもいい制度だと感じています。多様性は大事にしつつ、みんなと一緒の対応では難しいことがあれば、その子に合った対応をしていくことで、誰もが自分の可能性を最大限伸ばすことができるのではないでしょうか。
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