集団保育の力
社会性や友達との関わりを学ぶために、3歳以上の子ども達に集団保育が必要なことは、一般的に認知されていると思いますが、3歳未満児にとっても集団保育は有益だと思うことがよくあります。
お母さん、お父さんとの愛着関係が確立している(確立しつつある)時期に、引き離される経験・・・いわゆる慣れ保育の期間や朝おうちの方から泣きながら離れている子を見ると、かわいそうだなと思いますが、でも、集団保育に慣れると、保育園で生き生きと楽しく過ごせるようになります。
「お休みの日も、朝登園バッグを持って保育園に行こうって言うんですよ。」と話される1,2歳児の保護者の方もいらっしゃいます。保育園は、子ども達にとって安心で楽しい場所になっていくんですね。
火曜日、1歳児のAくんが熱を出したので、様子を見に行くと、少しぐったりとした様子でT先生に抱っこされ、その側では他の1歳児4人が給食を食べていました。
I先生が、「園長先生、見て下さい。みんなレタスを食べたんですよ。」と嬉しそうに教えてくれました。給食のお皿の中のレタスはみんなきれいになくなっています。「すごいね。みんな食べれるんだね。」と言うと、「Hちゃんがレタスを食べたので、『Hちゃん、すごいね。』と言ったら、他の子も食べたんですよ。」とI先生。
Yちゃんはレタスを持って食べようかどうか迷っている様子でしたが、I先生が、「ほら、レタスを食べたら、シャリシャリって音がするね。」と言うと、Yちゃんはシャリシャリ音を立てながらレタスを食べてしまいました。
お家では食べてくれない野菜も、自分と同じ年齢の友達が食べていると、「私だって・・・」という気持ちになるようです。集団保育の力です。
ぐったりしているAくんを見て、他の子ども達が、「Aくん、かわいそう。」「病院に行ったらいいのに。」と話していたそうです。まだ生まれて2年しか経っていない子どもたちが、いつも一緒に食べている友達のことを思いやって出てきた言葉です。やっぱり集団保育の力です。
少し前は、2世代、3世代家族や地域社会が存在し、その中で子ども達は社会性を育んでいました。父親、母親だけに子育ての負担がかかっている現在、それに代わることができるのが保育園だと思います。
子ども達は育つ力を持っています。それを引き出すためには、同年齢や異年齢の友達、自分に関心を持ってくれる大人達など、たくさんの人との関わりが大切だと思います。
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