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それぞれの居場所

 3・4.5歳児の異年齢児保育を取り入れて20年近くなります。最初の頃は、大きいクラスの子は小さい子への思いやりの気持ちが育ち、小さいクラスの子は大きいクラスの子へ憧れの気持ちが育つのではないかと思って始めました。

 当時は、異年齢児保育を行っている園がほとんどなくて、手さぐり状態でした。1週間に1日異年齢で過ごす日をつくってみたのですが、イベント的なやり方では心の育ちが実感できませんでした。保護者の方の強い反対意見の中、3クラスの異年齢児保育を開始しました。すると、子ども達の言動が目に見えて優しくなりました。おうちの中でも子ども達が変わり、その年度の終わりには、「どうなるかと思いましたが、子ども達、みんな優しくなりましたね。家でもきょうだいに優しくしてくれるようになりました。異年齢児保育になって、本当によかったです。」と言われました。

 異年齢児で生活すると、大きい子は小さい子が困っていると手伝ってくれたり、声を掛けてくれます。小さい子は大きい子の姿を見ながら、お兄ちゃん、お姉ちゃんみたいになりたいと憧れの気持ちが育ち、一生懸命真似をしようとします。

 もうひとつ、異年齢児保育のいいところがあります。小さい頃は同じ年齢でも、発達に大きな差があります。4月生まれの子と、3月生まれの子では1年の差があるので、同年齢の活動の中では、4月生まれの子が優位に立ってしまいます。今は、運動会や生活発表会など行事の時は、平等に役割分担をするので、4月生まれの子ばかり目立つことはないのですが、子どもの世界はシビアです。いくら大人が仲介しても、遊びや活動の中で、指示を出す子、指示を受ける子が固定してしまいます。

 異年齢児保育では、3月生まれの子も、年下の子から見れば憧れのお兄ちゃん、お姉ちゃんなので頼りにされます。どの子にも自分を認めてくれる居場所があるのです。

 先週見学に来られた子育てコンシェルジュの方にその話をしたら、「私も3月生まれなので、その話ものすごくわかります!友達と比べて自分はできないといつも思っていました。」と話されました。

 4,5歳児にもなると、友達と自分を比べるようになります。自信を持てなかったり、諦めたりしていることがたくさんあるのかもしれません。りんごの花保育園では、それぞれに自分に自信が持てる居心地がいい場所を準備したいと思います。

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