覚悟

 トイレトレーニングで忘れられない思い出があります。20年近く前、1歳児で重度の知的障がいがある男の子を担任しました。2歳になると、お母さんがトレーニングパンツを準備されたので、園でもトレーニングを始めました。ところが、オマルに座っても、全く出る気配がありません。オマルに座る意味が理解できないようでした。トレーニングパンツにもらしても、気に留めず、いつでも、どこでも排泄し、どうすればいいかわかりませんでした。1年経ち、2年経ち、年中組になっても全く状況は変わりません。

 ある日、お母さんが、「今日からこのパンツを履かせて下さい。漏れたら分かると思うので。」と男の子用のブリーフを持って来られました。ブリーフに変えても、同じです。もう排泄の自立は無理じゃないかと思っていました。

 「このパンツを履かせて下さい」と次に持って来られたのは、ボクサーパンツでした。「このパンツで失敗したら、片づけが大変だな」と思いながら、期待をせずにそのボクサーパンツを履かせました。失敗すると、おしっこが足を伝い落ちます。驚いたように男の子はじ~っと足を見つめていました。何度かそんな失敗を経験した後、トイレで排泄ができるようになりました。

 このトイレトレーニングの成功は、なんとしてもトイレで排泄できるようにしたいと思ったお母さんの覚悟がもたらしたものだと思います。この経験から、大きな課題を乗り越える時、それ相当の覚悟が必要だということと、あきらめずに挑戦することの大切さを学びました。そして、子どもの可能性を信じる大切さも・・・。

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