保育士の膝
全国私立保育所連盟が発行している『保育通信』という月刊誌があるのですが、その中に連載されている東京家政大学・短期大学部非常勤講師で、東京家政大学ナーサリールーム主任の井桁容子先生のお話を毎回楽しみに拝読しています。
最近心に残ったのが、保育園に就職した卒業生が、井桁先生を訪ねてきて退職しようか悩んでいると相談しにきたお話です。
その卒業生が就職した園では、甘やかしてはいけないから子どもを抱っこしないようにと言われているそうです。ある日、一人の子どもが、泣きながらベテラン保育士の膝に座ったところ、「私の膝は椅子ではありません!」と言って子どもを膝から下ろしたそうです。
その話を聞いた井桁先生は、「保育士の膝は、まちがいなく子どもの椅子ですよ。子どもが悲しい時には、保育士の膝の上で元気を取り戻して、また外に出ていくための椅子です。」と言われ、その話を聞いて、卒業生は気持ちを立て直したというお話でした。
世の中に、まだ「私の膝は椅子ではありません」と言うような保育士やそれを許している保育園があることが残念でなりません。
私も、私達の膝は、子ども達の椅子だと思います。子どもが「あのね・・・」と昨日のできごとを話したり、疲れた時は休んで元気を取り戻したり、怒りが収まらない時は、気持ちを立て直したりするために私達の膝があるのだと思います。
明日も、この距離だからこそ感じられる安心感や愛情を届けられるといいなと思います。