善く観る
東京大学名誉教授の汐見稔幸先生は、子どもを常に「善く観る」ことが大切だと言われています。子どもを「善く観る」とはどういうことでしょうか。
子どもは、大人から見れば困った行動をすることがあります。それを「ダメでしょ!」と否定的に見るのではなく、その行動の意味を考えたり、その子らしい意図があるのだと肯定的に見ることだと思います。
大人が子どもの行動の意味に思いを寄せ、その子らしい表現だと見れば、子どもにそれが伝わり、安心して行動できるようになります。子どもは善く見られれば見られるほど「善く」育っていきます。
大人は、子どもを急いで育てすぎてはいないでしょうか。早くルールやマナーを身につけてほしいと思うあまり、その子なりの表現に心を寄せたり、なぜそんな行動をしてしまうのか考えることを省いて、大人の価値観を押し付けてはいないでしょうか。
失敗をしながら学んでいく姿を認め、「〇〇したかったんだね」と子どもの思いに寄り添いながら、共感的で肯定的なまなざしを向けることが、子どもの善さを引き出していくのだと思います。
大人が子どもを「善く観よう」とする態度は、周りの大人や子どもにも伝わります。そんな温かなコミュニケーションの中で育っていく子ども達の心には、何より大切な「人を尊重する」という価値観が育っていくのだと思います。