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読み聞かせロボット

新しい保育園が次々に開園していますが、その中で特色ある保育として、絵本の読み聞かせロボットを取り入れている園があるそうです。

 絵本の主人公になりきって様々な経験をしたり、絵本の中に出てくる人や動物などの気持ちを想像したり、言葉の美しさや面白さを感じることができる絵本の読み聞かせは保育園でずっと大事にしていることです。

 子どもは読んでいる途中で必ず読み手の顔を見ます。怖い場面では、不安そうに顔を見つめる子どもに、「大丈夫だよ」と視線を返すと、安心したように絵本のページに戻っていきます。

 面白い場面では、一緒に顔を見合わせて笑います。子どもは絵本の内容だけでなく、読み手の大人の表情や目の動きを見ながら絵本のイメージを広げます。

 お気に入りの絵本は一日に何度も持って来て、お気に入りのページになると、期待を込めた表情で一緒に絵本の世界に入ろうと誘って来ます。こんな双方向の心の交流ができるのが絵本の魅力だと思います。

 子ども達は、先生の膝に座って絵本を読んでもらうのが大好きです。先生の膝に座って、時々読んでいる先生の顔を見上げるあの温かい心の交流が心地いいのだと思います。

 先日読んだコラムに、乳児がどうやって言葉を獲得するかについて、興味深い内容が掲載されていました。赤ちゃんは、7ヶ月くらいまでは、どんな国の言葉でも、発音の差を聞き分けられるらしいのです。でも、9ヶ月くらいになると、発音の差を聞き分けられなくなることが実験によってわかったそうです。これは能力の退行ではなく、母国語を聞き分けられるように、統計学的に言葉を処理した結果らしいのです。

 9ヶ月以降の赤ちゃんに、別の国の言葉を聞かせて、どのくらい言葉を覚えられるかという実験結果についても書いてありました。1つのグループは、DVDで絵本の読み聞かせを行い、もう一つのグループは実際に外国人による絵本の読み聞かせを行うと、外国人が直接絵本を読み聞かせた方が言葉の習得率が高いという結果が出たそうです。

 そんな実験結果を見なくても、DVDで絵本を読み聞かせるよりも、生身の人間が子どもの側で読み聞かせた方がいいことは、保育士ではなくても想像できますよね。

 絵本の読み聞かせロボットを見たことがないのに、批判するのは良くないですが、でもやっぱり、子ども達には温かい私達の膝の上で、顔を見合せながら笑ったり、ドキドキしたりしながら一緒に絵本の世界を楽しむ時間をたくさん過ごしてほしいと思います。

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