積み残し

 京都大学大学院教育学研究科大山泰宏准教授の『児童期・青年期』の研修動画を見ながら、とても考えさせられました。小学校の教員の方に向けた研修ですが、幼児期に関わる者として大事な視点を再確認させられた気がします。


 発達課題の積み残しについてのお話がありました。発達課題の積み残し・・・聞かれたことがあるでしょうか?その時期にクリアしておくべき発達課題を獲得しておかないと、成長してからも様々なステージで問題が現れるということです。


 乳幼児期の発達課題は、愛着関係の獲得です。乳幼児期に信頼できる人との関係において愛着形成ができないと、一生涯それに起因して問題を抱えたり、人とうまく付き合えなくなると言われています。


 赤ちゃんは、泣くことでしか自分の欲求を伝えることができません。泣いてお腹が空いたとかオムツが濡れて気持ちが悪いとか、眠たいけど眠れないとかを訴えます。大人は赤ちゃんが泣いている姿から、いろいろ察して、泣く(不快)の原因を取り去ってあげようとします。


 不快の原因を取り除いてくれた大人は、赤ちゃんにとって心地よい人、信頼できる人、困った時に助けてくれる人になり、人を信頼する気持ちが育ち、その人との強い絆を求め、くっつくようになります。これが愛着であり、人への基本的信頼感の育ちに繋がります。


 泣いたら、応える・・・これを毎日繰り返すことで、徐々に愛着関係が育っていきます。簡単なようですが、赤ちゃんが泣く原因は様々なうえ、成長していくうちに欲求はより複雑になっていくので、愛着関係が成立するその道のりは長く、険しいものになります。


 母親自身が安心感の中にいなければ、子どもが泣いていても、応えなくなり、愛着関係は育たなくなってしまいます。愛着関係がうまく作れなかったまま課題を持ち越すと、次のステージではより大きな問題に発展します。人を信じることができない、自分は誰からも愛されていないと思ってしまうと、人を大事にできないばかりか、自分を大事にすることもできなくなってしまいます。


 最近の身勝手な犯罪は、愛着関係不全に起因することが多いように感じます。もうどうなってもいい、一人で死ぬのはいやだから、他人を巻き込む・・・人も自分も大事にできない人が増えているとしたら、これからの社会はますます心配です。


 コロナウイルス感染が拡大し、子育て家庭はこれまで以上に孤立しています。早く感染が収まり、在宅で子育てをしている親子に保育園に遊びに来てほしいと思っています。狭い家庭の中では見えにくい子どもの心と身体の発達について学び合える場を作りたいです。

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