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表現

昨日、先生たちがお雛様を飾ってくれました。毎年飾っているのですが、1年に1回なので、飾るのにいつも時間がかかります。日本の伝統工芸は、繊細かつ緻密なので、そうそう簡単にはいかないですね。ああでもない、こうでもない、このお道具は誰に持たせればいいの?という先生たちの声が聞こえて来ました。


 保護者の方が、桃の花と菜の花を持って来てくださったので、お雛様の前にかざり、りんごの花保育園にも春がやってきました。ホッとします。小さい子どもたちは、お雛様の前を通るたびに、一瞬立ち止まります。思わず触ろうとするのですが、「触らないでね。」「見るだけだよ。」と言うと、すぐに手を引っ込めてくれます。お雛様には、触りたいけど触ってはいけないと思わせる不思議な力があるのでしょうね。


 朝、4歳児のYくんが、「お雛様、夜に動いているかもしれないね。」と言っていましたが、本当にそうかもしれません。ひな壇から降りて自由に動き回っているお雛様たちを想像すると楽しい気持ちになってきました。


 夕方、5歳児の子どもたちが作ったお雛様を見て感心しました。7段飾りを作っている子、段差が出るように工夫している子、小さな嫁入り道具を作っている子、一人一人工夫して表現していました。


 表現とは、心に思うこと、感じることを、色・音・言語・所作などの形によって、表し出すこと、その表した形なので、一人一人その表現の仕方が違っていて当たり前なのですね。


 私が担任をしていた頃は、「さあ、もうすぐひなまつりだから、おひなさまを作りますよ。」と言って、お内裏様を作るための青色の折り紙、お雛様を作るための赤色の折り紙を配って、全員一緒に同じものを作っていました。子どもたちは先生の言うように作らなくてはいけないと思い込んでいたようで、色画用紙に貼ったお雛様の横には私が描いたのとそっくりのぼんぼりの絵が描かれていました。みんな同じように作り、描くことに何の疑問も持たなかったのは、子どもたちの心を大事にしていなかったのかもしれません。


 一人一人の心に浮かんだイメージを思うように表現すると、きっと描くこと、作ることが楽しくなるのでしょう。りんご組(3・4・5歳児)の子どもたちは、毎日様々な材料を使って作ることを楽しんでいて、楽しむ中で、それぞれの表現力がステップアップしています。一人一人違うお雛様を見ていると、子どもたちの心の中が少しだけ覗けたようで、それもまた子どもたちと一緒に過ごせる幸せなのでしょうね。






















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