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専門職

 子どもを育てていると、食事の悩みが尽きませんね。食べない、食べ過ぎる、好き嫌いが激しい、食べこぼしが多い・・・言い出すときりがないくらいたくさんの悩みが出て来ます。これは保育園でも同じで、偏食が多い子はどうすれば食べてくれるんだろう?食事のスピードが遅い子は、どうすれば時間内に食べてくれるようになるの?残さず食べさせるにはどうしたらいい?と思ってしまうと、食事の時間が憂鬱な時間になってしまいます。


 全国保育所連盟発行の『保育通信1月号』で、上越教育大学大学院教授の野口孝則先生が、「食事提供時の困難を感じるときの対応」について、『保育は高度な専門職なので、『自己流』『長年の勘』『なんとなく』ではなく、一人一人の子どもに合わせた食事の提供の方法を考え、園内で共有すべきではないか』と書かれていました。


 確かにそうです。家庭での子育てと違って、保育園はたくさんのお子さんの食事を支援してきたノウハウを蓄積しています。そのノウハウを理論と結びつけて適切な援助ができるはずです。積み上げたノウハウは、常に振り返ってより良い方法に変えていけばいいのですね。


 りんごの花保育園でも、食事の提供の仕方の保育マニュアルがあるのですが、時々見直したり、変えた方がいいと思うことは変えるような話し合いの場が足りていないと思いました。食具(スプーン・フォーク・箸)についても、クラス(年齢)によって何をどう使うのかが統一されていないことも課題です。発達や個人差によって変えるものではあるのですが、共通認識が不十分です。専門職として子どもたちに食事をおいしく楽しく食べてもらうために、言葉かけやタイミング、量や時間などについても全職員で共通理解しなければと思いました。


 野口先生の講演の時に、若手保育士から、「私の隣のクラスでは食事の時間に大きな声で子どもたちに強く指導をしている声が聞こえます。毎日怒られながら食べる食事はいかがなものでしょうか」という質問が出たそうです。「怒られながら食べる食事はおいしくない。ぜひとも園全体で課題を共有して対応を考えてください」と答えられたそうですが、若手の保育士が口にするのは難しいでしょう。若手でなくても、毎日一緒に働いている保育士を批判するようなことはできないのが現状だと思います。それはよくわかります。でも、批判ではなく、園全体の保育や子どものためにみんなで考えようと提案することはできるのではないかとも思いました。


 他の保育士の対応が気になる・・・でも言いづらい、そのうち気づいてくれるかも?と思うかもしれませんが、気づいていないので変わらないのです。自分の姿は見えないですからね。そのために、一緒に働く仲間がいると思います。人間関係は難しいですが、保育士は人を育てるという重要な仕事を担っているので、専門職としての自覚を持たなくてはと思います。

 


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