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インクルーシブ教育

 昨日のブログで「インクルーシブ教育」について書いたのですが、改めて「インクルーシブ教育」って何を目的にして、どんな方法で行うことがインクルーシブになるのだろうと思いながら、最近はまっている研修動画を見ながら考えました。


 子どもは、経験が未熟で発達早期の段階にあるので、それぞれが個性的で違いが大きいのが特徴です。同じ年齢でも、3月生まれと4月生まれでは1年間の経験差があるので、できること、できないことや認知の仕方が違い、関わる大人には十分な配慮が求められます。


 給食の話です。1週間に1日くらいの割合で、主食がパンの日があります。食パン、黒糖パン、ぶどうパンなど福岡市の統一献立では様々なパンを提供するように求められていますが、未満児はぶどうパンだと全く食べない子がいます。干しブドウを外してパンの部分だけ食べてくれるといいのですが、それでも食べれない子がいます。


 パンを食べれないのはかわいそうなので、給食の先生が今月から食パン、黒糖パン、ぶどうパンを準備して選べるようにしてくれました。りんご組(3・4・5歳児)は、3種類のパンのうち、1種類を選び、それを食べ終えたら次のパンをもらうことにしたようです。初日、3種類のパンを全部食べたいと言ってQくんは譲りませんでした。他の子ども達は1種類しかもらっていないので、Qくんにも「これを食べたら、またもらえるよ」と言っても、納得できず、大きな声で泣き出しました。


 どうしても3種類のパンを食べたいというQくんに、先生たちは他の子も我慢しているのに、Qくんだけそれを許すのはどうだろう?それはわがままだし、そんなことをしたら、この先小学校に行った時、困るのはQくんだから・・・とそれはできないと言ったようです。


 Qくんの泣き声が園内に響き渡り、泣きながら事務室に籠っていました。ズボンを脱いで「こんな保育園だいきらい!」と言いながら、落ち着くのに30分以上かかりました。やっと泣き止み「もう給食は食べない」と言うQくんでしたが、最終的にはお皿に3種類のパンを載せると食べてくれました。


 次にまたパンが出た日、前回のように「3個全部食べたい!」と大声をあげて泣きながらQくんが事務室に入って来ました。「3個あげるから大丈夫だよ」と給食のトレーを渡すと、前回より短時間で気持ちが落ち着き、食べることができました。食べているQくんに、「3個全部載せたいと思うけど、次は2個にしてくれる?」と言うと「うん」とうなづいてくれました。


 他の子と同じ約束を守れれば、Qくんもこんなに大声を出して泣きわめかなくていいのですが、それができないのが今のQくんです。これをわがままだとして、小学校に行って困らないように、どんなに泣きわめいてもみんなと同じ約束を守らせるのがQくんのためになるのかどうか悩みます。


 たかがパン、されど大好きなパンです。Qくんにとっては全部食べられるかどうか大問題なのでしょう。食べている間になくなってしまうかもしれません。1個食べたら次のパンを取りに行くのではなく、全員が食べたい数だけパンをもらえるようにパンの数があればいいのですが・・・。


 大人が決める約束をたいていの子どもは守ってくれます。でも中にはすぐには守れない子もいます。そんな子が少しずつ時間をかけて、約束を受け入れられるようにできるのもインクルーシブ保育の良さではないかと思っています。


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