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高いハードル

 就学まで2カ月半、りんご3組(5歳児)の子どもたちは、それぞれに複雑な気持ちを表すようになりました。「Y先生、なにかわからないけど、涙が出てくる」と言って涙をポロポロ流す子。瞬きが増えた子・・・新しい大きな世界を前に不安でいっぱいになっている子どもたちを見ていると、心が締めつけられそうになります。


 「小学校に入学するのが楽しみ!」と子どもたちが言っていたのはもう一昔前のことです。だんだん入学するのが怖い、保育園にずっといたいという言葉を聞くようになりました。なぜでしょうか?


 福岡市は、市民であればどこの保育園にも入れるので、少し離れたところから通っている子どもたちがたくさんいます。意外にも、近隣の小学校に入学する子は、ほんの少しです。りんごの花保育園の子どもたちも、みんなそれぞれ違う小学校に入学します。これまでずっと一緒に過ごしてきた大好きな友達と一緒じゃないのですから、不安ですよね。


 私が子どもの頃は、地域の子ども会の活動が活発で、年上の子どもたちとよく一緒に遊んでいて、いろいろな遊びを教えてくれる年上の子どもたちにずっと憧れていました。小学校に一緒に通えると思うと、それだけでワクワクしました。毎朝、年上の小学生が迎えに来てくれ、帰りは集団下校をして、通学路は少しも怖くありませんでした。


 現代社会では、地域で異年齢で遊ぶことがほとんどないどころか、近所に友達さえいない子どもたちが増えています。誰も知り合いがいないところに、一人で行かなくてはいけないのですから、怖い、不安だと思うのは当然です。小学生のきょうだいがいれば心強いのでしょうが、長子のお子さんや一人っ子のお子さんは、本当に心細いでしょう。


 そんな気持ちをわかってはいるものの、大人は知らず知らずのうちに、「小学生になるんだから、〇〇できないと困るよ。」「小学校に行ったら、〇〇しないとね。」などと声を掛けてしまいますね。私達も、「もうすぐ小学校だね。楽しみだね。」と言いながらも、その言葉に心配な気持ちがこもってしまいます。


 この時期、子どもたちが就学する予定の小学校と連携しなくてはいけないのですが、コロナ禍で保幼小の連携もほとんどできていません。今月、来月と保幼少会議の予定が入っていますが、それもできるかどうかわからない状況です。


 〇〇くんの心配なところ、でも、〇〇すれば大丈夫ということを小学校の先生に伝えたいと思っていますが、どれだけ伝えられるのか心配です。小学校に通い始めたら、きっとたくさんのことを学び、経験し、たくさんの人と関わって、楽しい日々を過ごすことでしょう。保育園にいる間に、それを伝える方法はないか、今、担任の先生と考えているところです。

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