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保育士

30年以上前、保育士になりたての頃、社会的地位の低さに憤然としました。子どもの命を預かるという重要な仕事をしているにもかかわらず、給与は低く、休みもほとんど取れませんでした。持ち帰っての仕事も多く、「もう少し給料が高くならないでしょうか。」みたいなことを言うと、「保育所は福祉の仕事だから、ボランティア精神で働かなくちゃ。」と言われました。

 サービス残業は当然で、休日出勤しても、手当はありません。昇給もほとんどなく、将来に希望を持てませんでした。この世界はずっと変わらないだろうと思っていたのですが、昨年降ってわいたように、「キャリアアップ」の仕組が始まりました。キャリアを積めば、主任・副主任・リーダーなどの役職がつき、給与も加算されます。

 これも、待機児童が国政の中心課題になったお陰だと思います。国会で私達の給与や処遇のことを討論される日が来るなんて夢にも思いませんでした。幼児教育の重要性が世界的に認識されるようになったのも要因のひとつだと思います。

 私達の仕事は、子どもの命、人格の土台づくりにかかわる重要な仕事です。命を脅かされたり、人格の土台が揺らいだりすれば、その後の人生にどれほどの影響があるか計りしれません。保育士の仕事は人の一生にかかわる重要な役割があることを改めて認識しなくてはと思います。

 保育士の待遇は、重要な役割に見合うだけのものになってほしいと思います。同時に、この国で保育士の質について、問われることがあまりないのはなぜでしょうか。

 保育士が足りないからでしょうか。誰でもできる仕事だと思われているからでしょうか。安易に保育士資格を取得できるような仕組みになっていないでしょうか。

 医師や弁護士、看護師のように、保育士資格も国家試験に合格することを必須にしなければ、これ以上の待遇改善は難しいと思います。

 子どもが好きだけでは出来ない仕事です。健康管理、保健衛生、発達、精神衛生、児童心理・・・学ばなくてはいけないことはたくさんあります。

 10年後、20年後、保育士と言う仕事が、やりがいがあり、人から尊敬される職業になっていることを心から願います。

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