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矯正

開園の時に頂いた蘭の花が枯れてしまったので、植え替えを試みました。再び花をつけさせるのはかなり難しいとよく聞きますが、せっかく頂いたお花なので、チャレンジすることにしました。

 蘭の鉢の中は、茎が動かないように、発砲スチロールで固定されています。一つ一つの茎は小さいビニール製の鉢にぎゅうぎゅう詰めに入っていて、根っこは全く動かないように固定されています。

 4ヶ月間、あんなにきれいに咲いていた蘭の鉢の中がこんなに矯正されているのを見て切なくなりました。お祝いの気持ちを長く伝えるには、この方法しかないのでしょうが、この矯正された根を他に移しても、再生するのが難しいのは当然だと思います。

 蘭の花は、3~4ヶ月間美しい花を咲かせ続けることが目的で、成長し続けることを求められているわけではありません。蘭の花を植え替えながら、子どもの成長に置き換えていろいろ想いを巡らせました。

 子どもは教え込めば、大抵のことはできるようになります。逆立ちで歩いたり、難解な漢字を読んだり、難しい楽器を演奏したり・・・長い時間教え込めばできるようになります。でも、それは教育ではなく、矯正ではないでしょうか。子どもが伸びたいように成長するのではなく、大人がみんな一律に同じ方向に力をつけさせようとする・・・そこに子どものやりたいという思いがなければ、その場かぎりの力になってしまうでしょう。

 人間の成長は樹にたとえられます。やがて大きな実をつけるためには、土壌作りが大切です。大地にしっかり根を張っていれば、どんな困難なことがあっても、乗り越えて大きな花を咲かせ、大きな実をつけることができます。

 蘭の花のように、その場かぎりの美しさを最優先にしてしまえば、根を張ることができず、矯正する力がなくなると、萎れてしまいます。

 乳幼児期は、長い人生において土壌を作る時期です。豊かな土壌を作るには、心を動かす経験や自分が大事、人も大事だと思える心を育てることが必要です。目の前の成果に心を奪われていると、大切なものを育てる機会を逸してしまうかもしれないですね。

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