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接面

午後から全国私立保育所連盟が継続して行っている『子どもの心の育ちを支える運動』にずっとかかわられている鯨岡峻先生の講演をお聴きしました。

 鯨岡先生は、発達心理学が専門で、全国でご講演をされていらっしゃる著名な先生ですが、以前勤めていた園の法人での研修会で定期的にご指導頂いていたので、多分もう10回以上お話をお聴きしていると思います。

 鯨岡先生は現在の風潮である、急いで力をつける(早期教育)ことに、警鐘を鳴らされています。幼児期には心を育てることが重要で、心が育てば、力は自然についてくると言われます。

 目には見えない心はどう育てればいいのでしょうか。

 人と人の心が接する時、相手のことを思ったり、自分が相手にどう思われているかなど心が動きます。その心の交流が接面であり、子どもの心をどう受け止め、返していくかで心の育ちが変わります。

 今日の例に出された昼寝時のエピソードです。

お昼寝の時、なかなか寝付けないYちゃんの側にいたA保育士は、少し離れたところで眠っていたと思っていたKくんがむっくり起き上がるのに気がつきました。KくんはじっとA保育士を見ています。そばにきてほしいんだな・・・と思いつつも、やっと寝付きそうなYちゃんの側を離れられないので、Kくんの目を見て、(後で行くから待っててね)という思いを込めて「うん」と黙ってうなづきました。それを見たKくんは、自分の布団にゆっくり戻って行きました。

 この時、KくんもA保育士も、一言も言葉を発していません。それでも、お互いに相手の気持ちがわかりました。この心の交流を、鯨岡先生は『接面』と言われます。

 「そばにきてほしい」と思っている子どもの気持ちがわかるのも、「後で行くから待っててね」とうなづいただけで伝えられるのも、長年培われてきた保育の専門性だと言われました。もし、「お昼寝の時間でしょ。寝なさい!」と言っていたなら、Kくんは泣いてしまったかもしれません。きっと、心は傷ついたでしょう。

 普段あまり意識しませんが、やっぱり最初に子どもの気持ちはどうだろうと考えます。それはもう自然に考えます。そして、子どもの心がわかったら、やっぱりその気持ちに寄り添いたくなります。それが専門性だと言われると少し誇らしくなります。

 久しぶりに鯨岡先生のお話を聞いて、今りんごの花保育園で大事にしていることに自信が持てました。自分の思いをまだ上手に言葉にできない子ども達との接面を大事にしていきたいと思います。

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