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保育士の配置基準

異次元の少子化対策の中で、保育士の配置基準の改善が挙げられています。75年ぶりとなる改正で、1歳児6人に一人から5人に一人へ、4・5歳児30人に一人から25人に一人へと改善されるかもしれません。


 他国では、もっと保育士の配置基準が手厚いので、せめて2歳児も5人に一人、4・5歳児は20人に一人にしてほしいと思いますが、保育士不足も深刻なので、現状は仕方ないということでしょうか?海外と比べてみると、イギリスは2歳未満児は3:1、2歳児は4:1、3~7歳児は8:1で、フィンランドは、3歳未満児は3:1,3歳~6歳以上児は8:1,フランスは0~2歳児は5:1,2~5歳児は8:1で、日本がどれだけ保育士の配置基準が低いかわかります。配置基準が低いということは、子どもを大事にしない国と言っていることと同じでは?


 75年間変わらなかったことに驚かれると思いますが、現場からはずっと配置基準を上げるよう要望を出していました。ここにきてやっと配置基準を変えようとしているのが、少子化対策のためだと思うと、少し残念な気もします。一人一人の子どもを大事にするという当たり前のことを長年積み残してきたことは、子どもたちの成長に決して無関係ではないでしょう。


 保育士の配置が手厚くなると、保育がどう変わるか?について書かれたコラムを読みました。コロナの時に、登園する子が減って、一人の保育士が保育する子どもたちの人数が少なくなった時、「もう少し遊びたい」「ダンゴムシを見つけたらお部屋に帰る」という子どもたちの声に耳を傾けることができたそうです。


 2歳児の食事の場面での実験についても書かれていました。3:1と6:1では、保育士の声掛けが全く違うものになったそうです。6:1では、早く食事を終わらせなくてはと急がせたり、注意をする言葉かけがほとんどだったのに、3:1では、「おいしいね」などと子どもの気持ちに共感する言葉かけが多く聞かれたそうです。


 予想通りではありますが、今ここで成長している子どもたちの心に与える影響を考えると、とても不安になります。保育園は集団生活だからこそ、保育士の温かい声掛けや子どもの心の揺らぎに寄り添えるゆとりが必要です。今回改善される配置基準が通過点であるよう願います。



 

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