見せる保育

私が初めて勤めた保育園は、運動会では鼓隊演奏、凝った衣装のお遊戯会、様々な楽器を取り入れた合奏で、地元では人気の保育園でした。今年は何の曲を演奏するのか、だれがどの楽器を担当するのか、年長組になると保護者の方からの期待と要望が高まります。

 難しい曲やリズムを叩くので、誰でもできるわけではありません。この子だったらできる・・・と先生が決めます。どの行事も、力がない子(?)は、その他大勢をするしかありません。その時は、それが当たり前だと思っていて、行事が終わるごとに達成感、充実感を感じていました。

 合奏の時は、登園すると同時に個人練習が始まり、その他の子は、保育室の中で自由遊びをします。他のクラスの先生も指導を分担し、園全体が合奏のための日々を過ごします。「朝、登園したくないと言って泣いています。」「練習がいやみたいで、夜泣きをします。」そんな声に耳を傾けずに、ただ発表会当日を目指してがんばりました。

 今考えると、なんであんなに全てを犠牲にして練習していたのかよくわかりません。恒例の行事、保護者の方の期待、そんなことに振り回されていたのでしょう。

 新しい園長が、「全ての行事をやめよう」と言った時、保護者の方、先生達からたくさんの反発がありました。でも、日々の生活を大事にし、季節ごとの活動を体験することで子ども達は生き生きと成長し、私達も、一人ひとりの子ども達にじっくりと関われるようになりました。

 どこかのステージで楽器演奏を発表する幼稚園や保育園では、弾けない子の鍵盤ハーモニカのホースにセロテープを貼って音が出ないようにしているという話を聞いたことがあります。どの園にもみんなと同じ行動ができない子がいます。それがわからないほど統率が取れた行動や演奏は、不自然な感じがします。

 子ども自身がやりたいと思わなければ・・・そこに子どもの意志や思いがなく与えられたものは力にはなりません。初めての子育てをしている保護者の方にはわからないかもしれませんが、乳幼児期の子どもたちに関わっている人達だったらわかるはずです。

 私達は子ども達の大事な時間を使って保育をさせてもらっています。だから園に来る子どもたちが幸せだと感じるようにするのが私達の仕事です・・・先日講演を伺ったぷろほ研究所の山田真理子先生の言葉が胸に響きます。

Tags:

特集記事
最新記事
アーカイブ
タグから検索
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square