メッセージ

 東京大学入学式での名誉教授上野千鶴子氏の祝辞が話題になっています。報道で聞かれた方も多いと思いますが、こんな素晴らしい思想を持った女性がいるんですね。現実を冷静に分析して、日本社会の問題点を露わにしつつ、入学してきた若い人たちに未来を託す思いが伝わってきました。

 祝辞としてふさわしくないと言う人もいますが、お決まりの言葉よりも、入学した学生やその保護者の心に響いたのではないでしょうか。特に最後の言葉は心に残ります。

あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなた方が思えることそのものが、あなた方の努力の成果ではなく、環境のおかげだったことを忘れないようにしてください。あなた達が今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなた達の周囲の環境が、あなた達を励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には、がんばっても報われない人、がんばろうにもがんばれない人、がんばりすぎて心と体をこわした人たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれる人たちもいます。

あなた達のがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれない人々を貶めるためにではなく、そういう人々を助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムは決して女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。

この言葉は、東大生だけではなく、全ての人へのメッセージだと思いました。人は一人では生きていけません。今元気で過ごしているとしても、いつまでもそうであり続けるわけではありません。人は弱いからこそ、互いに助け合い、支え合って生きることの大切さを改めて感じました。

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