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保育者の地平

 お茶の水女子大学名誉教授である津守真先生の著書『保育者の地平』を読んで、心が揺さぶられるほどの感動を覚えました。保育に関する名著を読むと、必ずと言っていいほど、この『保育者の地平』が引用されています。以前から読みたい(読まなくてはいけない)と思っていたのですが、やっと手に取って読みました。


 なぜもっと早く読まなかったのだろう?と保育に関わる者として恥ずかしいのですが、心に染み入る言葉が並んでいます。


 津守先生は、お茶の水女子大学教授の職を辞して、愛育養護学校の保育者になり、現場で障碍がある子ども達やその親たちに関わられました。57歳で保育者になられ、12年間クラス担任もしながら、障碍があるお子さんたちと文字通り全霊全身傾けて関わって来られた経験を記されているのが、『保育者の地平』です。愛育教護学校は、2,3歳から小学部6年生までのお子さんの保育を行っている学校です。


 保育現場にいると、理論は理解できても、実践ではできないと思うことがたくさんあります。本当にきつい時は、研究者は実践者じゃないからそんなことを言えるのだと思ってしまうことも多々あります。


 津守先生は、壮年期になって自ら保育現場に身を投じ、保育者として子ども達と関わって感じられたことを語られているので、その言葉には説得力があります。そして、私たちと同じように、日々子どもと関わることの大変さや、子どもとうまく関われなかったことへの後悔を書かれている正直な思いにさらに惹かれます。


 全身全霊・・・言葉を話すことができない子どもが表現していることを理解するために、何時間も同じ遊びをしたり、顔や体に絵の具を塗って一緒に楽しんだり、子どもを肩の上に乗せて歩いたり・・・保育は身体的行為でありながら、知的行為であると書かれています。子どもの行為には、必ず理由があり、子どもと一緒に活動する中で、子どもの思いや課題を省察する保育の奥深さを改めて感じました。


 この本を読むと、さらに子どもが愛おしくなり、保育がおもしろくなると思います。この歳になってやっとこの本を読んだことを報告するのは恥ずかしいのですが、まだ読んだことがない方は是非読んでください。


 

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