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母が仕事を辞める時

 知り合いの保育士の人が、何名か退職するという話を聞きました。育児休暇を取って、小さい子ども達を保育園に送り迎えしながら、大変な時を乗り越えてきたのに、なぜこのタイミングでと思ったのですが、それぞれ深刻な問題を抱えているようでした。


 小学校、中学、高校など、子どもはそれぞれの時期に様々な問題を起こすことがあります。学校に行けなくなった、反抗的な態度をとる・・・いろいろな形のSOSを出します。どの子にも起こりえることなのですが、母親は自分を責めてしまいますね。


 特に働いている母親は、自分がしっかり子どもを見ていなかったせいだと思ってしまいます。私も、子どもに何かあった時は、いつでも仕事を辞めようと思っていました。どうにか(いろいろありましたが)、今まで仕事を続けて来られたのは、私の両親がずっと助けてくれたからです。


 両親が亡くなってから、息子から聞いた話です。息子が高校生の時、問題を起こして学校の先生に呼び出されたことがありました。仕事をしていた私に代わって、私の両親が息子の学校に行って、先生の話を聞き、息子を車に乗せて連れて帰って来てくれました。


 その時、両親が車の中で、「ママは、保育園で先生をしているんだから、子どもがこんなことをしたら仕事をやめなくてはいけなくなるやろう。心配させたらいかんよ。」と話してくれたそうです。それを聞いた息子は、もう問題を起こすことはしないようにしようと決めたそうです。「だから、あれから学校に呼び出されたことはないやろう?」


 自分は必死に働いていたつもりだったのですが、両親のこんな支えがあったから続けて来られたということをしみじみと実感し、感謝の言葉を伝えられなかったのが悔やまれました。誰かが足りないところを補ってくれるというのは、子育てには大切なのでしょうね。


 子どもの心配な変化で仕事を辞めたとしても、またいつでも保育の場に戻って来れます。後で、あの時に仕事を辞めていたら・・・と悔やむよりも、今は子どものことを優先したいと思うのならそれはいい選択なのだと思います。いつか仕事をがんばる母親の姿を応援してくれるようになった時、また戻って来てくださいね。

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