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突然死

ジャーナリストの猪熊弘子さんと弁護士の寺町東子さん共著の『子どもがすくすく育つ幼稚園・保育園』を読んでいるところです。お二人とも、保育施設の事故について、それぞれの立場から深く関わって来られています。

 本の中でのショッキングな情報は、『保育施設で起きた1歳未満乳児突然死発生率は、全国で起きた1歳未満乳児突然死発生率より低いが、保育施設における1・2歳児の睡眠中の突然死発生率は、日本全体で発生する1・2歳児の突然死発生率を上回っている。未満児の突然死の数は、0歳児は日本全体よりも保育施設の方が少ないが、1・2歳児は、保育施設の方が日本全体よりも明らかに高い。』

 上記は、東京都中央区の事業所内保育所での死亡事故に関する「東京都教育・保育施設等における重大事故の再発防止のための事後的検証委員会」の検証報告です。

 また、登園初期の発生率が非常に高いという報告もあります。なぜ保育施設で1・2歳児の突然死が起こるのか、0歳児と比べて検討もされています。

 保育士の配置基準は、0歳児は3人に1人ですが、1・2歳児は6人に1人で、それが保育士の余裕のなさにつながり、子どもの対応に影響していると分析されています。

 1歳児は、慣れ親しんだ人(母親)との分離不安が強く、激しく泣くことが多い。激しく泣けば心拍数の上昇、発熱、発汗、呼吸数の上昇などが起こり、このような状態で激しく泣く子を抱っこしてあげられればいいが、手が足りないために、うつぶせにして寝かせてしまうこともあるのではないか。

 また、1歳児は食べ物を噛んで飲み込む能力の差が大きいが、6人に1人の保育士配置では、「なるべく早く食べさせて、寝かさなくては」という気持ちが働いてしまうこともあるのではないか・・・と書かれていました。

 突然死の発生は、入園後1カ月に多発しています。慣れていない子どもとゆっくり向き合う時間やゆとりがなければ、子どもの異変に気付くのも遅れてしまいます。

 金曜日、10ヶ月のお子さんを抱っこして施設見学に来られたお母さんに、「うつぶせ寝にして寝かせることはないですか?」と訊かれましたが、きっと突然死のことを心配されていらっしゃるのでしょう。

 園では、午睡中も、保育室を子どもの顔色がわかる明るさにして、1歳半までは10分おきに睡眠チェックを行います。泣いている子は、抱っこして寝かせ、特に入園1ヶ月は注意して観察しています。

 うつぶせ寝にしてしまうと、子どもの顔色や変化にも気づきにくくなってしまいます。大切なお子さんをお預かりしているという気持ちを忘れないようにしなくてはと、この本を読みながら思いを強くしています。

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