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「いつも」がわからない

 4月になり、りんごの花保育園にも新しい子ども達が12名入園しました。今日は、いわゆる『慣れ保育』3日目です。大好きなおうちの方と離れ、知らない場所で知らない人達に囲まれて過ごすのですから、それはそれは不安でしょう。


 時間の感覚もなく、先の見通しを持てないうえに、言葉で伝えることもできない小さい子どもたちなので、泣いて、泣いて・・・。本当にかわいそうな時期です。


 今日も朝から泣き声の大合唱・・・と思ったら、意外にもそんなに泣き声は続きませんでした。きょうだいがいる子は、きょうだい一緒の方が安心できるのではと、クラスを超えて一緒に過ごしたり、園庭や保育室から出て散歩をしたり、先生たちがいろいろ工夫してくれるので、泣いている時間も短くなりました。


 先生たちも経験年数が長くなっているので、一人一人の子ども達の好きな遊びや場所を察知するのが早いです。無理をせず、一人一人の子ども達のペースや好きなものを大事にしていると、どんなに小さくても不安が少なくなっていくのでしょうね。


 新年度が始まって怖いのは、「いつもがわからない」ことだと、全国私立保育園連盟発行の保育通信3月号に心理学博士で保育の安全研究・教育センターを設立された掛札逸美先生が書かれています。


 新入園児は、「いつもの〇〇ちゃん」がわからない。その子たちがいるから、在園児たちの「いつも」も揺らいでしまう。・・・いつもの〇〇ちゃんを知っていることがどんなに大事なことなのか、この時期実感します。顔色や機嫌、食欲、言動・・・いつもがわかっていれば、病気の前兆にも気づけます。いつもを知っているのは、本当に大事で、知らない、わからないからこそ、より注意して見なくてはと思います。


 新入園児が少数しかいないクラスにもリスクが隠れていると書かれています。人間の脳には、慣れてしまって気づけないという側面もある一方、慣れている情報にだけ意識が向き、新しい情報を無視してしまう側面があるそうです。在園児は、「いるはずの〇〇ちゃんがいない」と気づけるのに、新入園児がいないことには気づきにくいということです。「家に帰りたい!」と強い意志で、本当に一人で保育園を出てしまって、探し回ったという話を聞くのは、この時期珍しくはありません。


 早く「〇〇ちゃんのいつも」がわかるようになりたいです。おうちと同じくらい「安心できる場所」になりたいと思います。



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