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チャレンジド

 先日、発達障害があるお子さんのお母さんから、手紙をいただきました。手紙には、「障がいがある方たちを『チャレンジド』と呼ぼうという動きがあることを知っていますか?」と書いてありました。調べてみると、「障がいを持つ人」を表す新しい米語「the challenged (挑戦という使命や課題、挑戦するチャンスや資格を与えられた人)」を語源としているそうです。


 気持ちが前向きになる言葉ですね。言葉はイメージをつくるので、知らず知らずのうちに、障害と言う(書く)と・・・マイナスイメージを持ったり、よくないことのように思ってしまっていたように思います。


 福岡市の『さぽ~と保育』も、2~3年前までは『障害児保育』と言っていました。以前勤めていた福岡市外の保育園ではそんな言葉を使ったことがなかったので、福岡市で開園した当時、その言葉を聞くたびにいやだなと思ったことを思い出します。同じことを指しても言葉で受け取り方が大きく変わりますね。障害を障がいとひらがな表記して、イメージを変えようという動きもありますが、害(がい)という言葉は使ってほしくないと思います。


 いつも引用させていただいている全国私立保育所連盟が毎月発行している『保育通信』で、臨床心理士の村中直人さんのインタビュー記事がとても興味深かったです。


 この社会を作っていくときに、人間をニューロダイバーシティ(神経多様性)と見るのか、ニューロユニバーサリティ(神経普遍性)と見るのかで社会のありようが変わってくる。砕けた言葉で言うと、「人間って思っている以上に脳神経レベルで多様な存在だよねという人間観なのか、人間って同じ人間なんだから、基本的には一緒だよねという人間観なのか、どっちで社会をつくっていくんですか?」と

問われているということです。


 発達障がいと言われている自閉スペクトラムやADHDの子どもたちは、人間がニューロダイバースな存在であることの確たる証拠です。それなのに、大多数であることを理由に、健常者、障害者と分けるのはおかしな話だと思いました。


 障害者は弱者であり、労わったり、守ったりする存在としてこの社会は成り立っていますが、一人一人の特性を理解して、もっと生き生きと様々なことにチャレンジできるような環境が整えば、誰にとっても生きやすい社会になるのではないでしょうか。『チャレンジド』という言葉が広まって、誰もが対等に生きられるようにと願いつつ、この言葉を使っていきたいと思います。



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