せんそう
- 智子 大瀧
- 19 hours ago
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「子どもたちにこの絵本を読んでいいですか?」とM先生が手にしていたのは、戦争の絵本2冊・・・少し前に話題になった『へいわとせんそう』は、詩人の谷川俊太郎さんが書かれた簡潔な文が印象的な絵本です。平和と戦争を対比させながら、そこにいる人間は同じということをわかりやすい言葉と絵で表現され、子ども達の心にも届きそうです。衝撃なのは、へいわのくもとせんそうのくもの対比です。せんそうのくもには原子爆弾の写真が使われていて、怖くなります。
もう一冊は『ひとのなみだ』で、内田麟太郎さんの文章にnakabanさんの絵が描かれた絵本です。現在も世界のあちらこちらで続いている戦争を見ないようにしている心を見透かされたような気がして、苦しくなりました。
終戦から80年。戦争体験者の方が次々に亡くなって、戦争の悲惨さを次世代にどう伝えていくかが課題になっています。私は戦争が終わって15年後に生まれたのですが、育ってきた環境の中に戦争の面影は全くありません。怖いくらい、不思議なくらい戦争や戦後を感じない中で育ちました。戦争の話をしてはいけないという暗黙のルールがあったのかもしれません。そんな暗黙のルールがあったことさえ感じることもなく、平和の中で育ちました。これはとても不自然なことだと思います。
80年前、8月6日広島に原爆が投下され、9日に長崎に原爆投下、そして15日に終戦を迎えてからは、戦争はなかったことのようにされ、日本社会は高度経済成長期に突入し、ますます戦争のことを忘れてしまいました。
今年も8月15日前後にはテレビで戦争体験者の方たちが語る戦争の話が報道されました。その想像を絶する悲惨さに耳を塞ぎたくなりましたが、現在も世界では戦争が続いています。戦争を正当化しようとする人たち、戦争を見てみぬふりをしながら平和に暮らす人たち(私もその一人です)が大部分を占める中で、せめて、子ども達に戦争の悲惨さや戦争で失う命の重さを絵本を通して伝えていかなくてはと思いました。
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