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主体性

 ブログでも何度も『主体性』について取り上げてきました。りんごの花保育園は、「子どもの主体性を尊重し、一人ひとりの子どもの最善の利益を保障する」というのが保育目標なので、常に『主体性』について考え、職員勉強会等でも何度も話し合っています。


 『主体性』という言葉の捉え方が違うと、子どもへの関わり方や目標が変わってしまいます。言葉の解釈は、それぞれの子ども観や発達観、子育て観(自分の子どもを育てたときの価値観)などによって様々でしょうが、ズレや思いをできるだけ一つにすることが大切です。


 北海道大学大学院教育学研究院准教授である川田学先生の『保育的発達論のはじまり』の第1部に『子どもの主体性とはなにか』という考察を読み、再び『主体性』について考えました。


 川田先生は、著書の中で、『一般的に、子どもの主体性を尊重するというのと、子どもの自己決定を尊重するというのは、かなり似た意味で使われているように思う。』『では、主体性や自己決定とは何なのか?その考え方には、2つあるように思われる』として、


 A 子どもの好きなようにさせるのが主体的・自己決定の尊重である

 B 人に影響されないで決定するのが主体的な自己決定である 

   と示されています。


 たぶん、AもBにも、違和感を感じられるでしょう。私もAやBを『主体性』と解釈して保育の目標にすると、子どもにとってかなり不利益が生じるのではないかと思います。子どもであっても、現在も未来も社会の中で生きる存在です。自分が思うとおりに生きるだけでなく、人の思いを聞いたり、社会のルールに従ったりしながら、自己実現していくことを目指さなくてはいけません。


 乳幼児期に育てるべき『主体性』の方向を見失ってはいけないと思います。子どもが好きなようにさせるのでもなく、他の人の気持ちは考えずに、自分が思うようにして良いと思ってしまうのも、目指すべき『主体性』とは違います。


 甘えは満たしながら、子どもが自ら考えて、より良い自己実現ができるように導いていくのが保育者の役割だと思います。子どもがその気になるまで待つだけでなく、活動の見通しや友達の思いなどを伝えながら、望ましい方向に導いていくという保育者の関わりが、子どものより良い『主体性』を育てていくのではないでしょうか。


 新年度を前に、改めて先生たちと『主体性』について語り合いたいと思います。

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