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公衆衛生

 昨日の『ペストの記憶』の中に、ペスト感染時に民衆がとった行動とコロナウイルス感染が拡大する現代社会の中で人々の似通った行動があります。


 「食料を買いにやむなく出かけるという市民の行動が、ロンドン全体に多大な被害をもたらした」と作家であるダニエル・デフォーは記述し、人々が生きるために命懸けで買い物に出かけた姿を以下のように表現しています。


・・・けれども、人びとができるかぎりの予防策を講じていたのは間違いない。市場で骨つき肉を一片買うときも、肉屋の手から直接受け取ろうとはせず、鉤にかかっているのを自分で外した。また肉屋の方も金に触れようとせず、わざわざ酢を満たした壺を用意して、そこに入れさせた。買う側はどんな半端な額でも支払えるよう、いつも細かい金を用意して釣銭をもらわないようにした。香料や香水の入った壜を握りしめ、ほかにも効き目のありそうなものはなんでも用いた。


・・・武漢でコロナウイルスの爆発的な感染が起こっていた時、お金や商品を長い棒の先の籠で受け取っている映像を見ました。その時はとても滑稽に思いましたが、ウイルスは人の手から手に感染するものなので決して間違いではないのですね。


 諸外国に比べ、日本人の感染者が少ない(もうそんなことは言えませんが)のは、公衆衛生に対する意識が高いからだと言われることもありました。私達は、外から帰ったら、食事の前には、トイレの後には必ず手を洗いますが、他の国の人はそこまで習慣化していないのかもしれません。


 保育園では、これまでも手洗いを習慣づけることに力を入れてきました。食事・排泄・睡眠など生理的欲求によるものに比べ、清潔への意識は大人が我慢強く伝え続けなくては身につかないものです。


 「手を洗いたくない」という子どもに、「手にばい菌がいっぱいついているから、石鹸できれいにしようね」と言っても、ばい菌は目に見えないので、しっかり見守っていないと手を洗わないこともあります。


 子どもたちが自分でできるように、泡で出てくる石鹸やタオルを自分でとれる場所に置いて、繰り返し伝え続けることで、少しずつ手洗いの習慣が身につきます。気持ち良さや手を洗わないと食事をしたくないという感覚が身につくには大人の意識の高さが求められます。


 現在幸いなことに、アルコール消毒もちゃんと手に入るようになりました。手洗いや消毒を習慣化し、これからもずっと続くウイルスとの戦いに備えましょう。


 

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