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里親制度

 昨日の研修会の中で、NHK ハートネットTVの『里親』をテーマにした番組を視聴しました。


 この国には、様々な理由から実の親に育ててもらえない子ども達が約45,000人います。そのうち里親に育てられているのは6,000人で全体の13.3%しかいません。それでも、国連から3度の改善勧告を受け、国の政策が転換し、里親制度は広がりつつあります。


 子どもには無条件に自分を愛してくれる人の存在が必要です。その人と愛着関係を築くことで自分を信頼し、人を信頼する気持ちが育ちます。この人としての土台ができないと、その後さまざまな問題や葛藤を抱えることになります。


 乳児院や児童養護施設などの大人数で暮らす生活の中では特定の人との愛着関係を築くことが難しいかもしれません。一般の家庭と同じような生活をする中で、愛着関係を築くことができるように里親制度が広がりを見せているのだと思います。施設には専門性の高い職員の方がたくさんいらっしゃるので、全ての施設養護を否定するわけではありませんが、家庭と同じような環境で育てられることを子ども達も望んでいると思います。


 DVDで紹介されていた坂本洋子さんは、里親として35年間で18人の子どもを育ててこられたそうです。番組の中でも、1歳から17歳の子ども達6人を育てていらっしゃいましたが、病気療養中の夫の代わりに、手伝いをしているのは里子として育ててきた25歳の青年でした。自分も里子だったから、その気持ちがよくわかる、だから自分も里親になりたいと思っていると話されていました。


 社会的養護を受けている子どもたちの中で虐待経験があるのは里親で4割、乳児院4割、児童養護施設では6割ととても高い割合です。人生の初期の段階で虐待を受けた子ども達は、激しく泣いたり駄々をこねたりして大人を困らせます。その気持ちはわかるものの、社会に出て困らないように、厳しくしつけようとする青年と、子どもの気持ちに寄り添って、傍から見れば甘いんじゃないの?と思われる対応をする坂本さん。


 講師の先生がこのDVDで何を感じてほしいのかがよくわかりました。甘やかしと思われることも、その子どもにとっては必要な愛情でした。早く自立させたいと厳しく指導しても、子どもがその気にならなければ本当の力にはなりません。子ども自身が自分でやろうと思えるように、保育者として子どもにどう向き合っていくかを考えさせられました。


 この社会に、実の親と一緒に暮らせない子がたくさんいます。実の親でなくても、子どもにたくさんの愛情を注げば、子どもは自分の力を信じて自分の人生の主人公として勇気をもって前に進んでいけます。里親制度が充実し、家庭で過ごせる子ども達が増えますように。

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